五十四歩
一般男子個人形 優勝 水田洋平
「宣誓 われわれ選手一同は
今ここにいる自分を築いてくれた たくさんの想いを大切に
未来へつないでいけるよう 心をこめて競技することを誓います。」
この選手宣誓文は、一緒に選手宣誓をした東郷支部の尾上真名と考えた内容です。
私が最後の大会に臨むまでに、私自身を築いてくれた、周りの人たちの想いが本当にたくさんありました。
私の得意形は五十四歩。
多彩な手技、足技、立ち。
「総合力」を武器とする私を象徴するような形だと思っています。
最初に教わったのは父である水田義則師範からでした。
小学5年時だったと思います。
本当に様々な手技、足技、立ち方のある難しい形です。
なかなか上手にできなくて、高校で選抜に出場する時には、三好支部に行って海堀錠太郎先生に教わりました。
また、2012年に亡くなられた佐藤輝紀先生には、細かい指導を頂きました。
その後も水田師範と試行錯誤を続けて、高校では選抜やインターハイでもこの形で3位入賞しました。
大学生になり、全日本選手権大会に出る時には、清空会かなめ支部の吉戸章先生からも指導を受けました。
さらに、2年前の第45回常心門記念武道祭の前には、宗家から直々に指導を受けました。
「日本を代表する選手として、正しいものを世界に伝えて欲しい」との言葉をいただきました。
形は、人が表れると思いますが、この形にまつわる想いの数々が、表に表れるとも言えます。
また、その形によって、人がつくられるということもあると思います。
少なくとも、私の空手は五十四歩によって作られてきたといっても過言ではありません。
最後にまた、この形で優勝できて良かったと思います。
また、愛知開催の全国大会ということで、たくさんの方に選手としての最後の姿を見てもらえたことも、幸せなめぐり合わせでした。
これからは、五十四歩に込められたたくさんの想いに私の想いを上乗せして、
未来へつないでいけたらと思っています。